帯状疱疹は、脊髄に残っている、子供の頃かかったみずぼうそうのウイルスの一部が、風邪を引いた後、試験勉強や仕事で疲れている時など、体の抵抗力(免疫)が落ちている時に、背骨からでている神経の領域に沿って(顔面の場合は三叉神経ですが)、通常は片側に水疱と疼痛を生じる疾患です。
帯状疱疹は、秋田や青森県では“つづらご”といって、結構恐れられている病気です。
昭和天皇や正子さまが罹患されてご存知の方もおられると思いますが、決して珍しい病気ではありません。
どうして恐れられているか;時に疼痛だけが残ってしまうからです(帯状疱疹後神経痛/PHNと言います)。それも、本当にどこかが損傷していて痛いのではなく、神経が損傷して(ここが損傷部位だと言えばそうなんですがね;))痛みだけを伝えてしまうのです。
では、どういうときに痛みが残りやすいかというと、高齢者が帯状疱疹を罹患する時、治療(抗ウイルス剤の内服)が遅れた時などがあげられると思います。
この痛みは、数年続くこともあります。
帯状疱疹が、三叉神経の部分に罹患すると、ラムゼイハント症候群といって、難聴、顔面神経麻痺などを伴います。この場合、入院設備のある耳鼻科への紹介することがあります。
難聴や耳鳴り、顔面神経麻痺が、永続的なものとならないためです。
閉眼障害が続くと、失明につながりますので、侮ってはいけません。
帯状疱疹は、本当に早めの診断と治療が大切です。
また、お腹の帯状疱疹で、腸の動きが一時的に悪くなったというお話も時に聞かれます。
たいていの疼痛性疾患は冷やすと痛みが軽減するのですが、この疾患に限って言えば、暖めた方が疼痛は軽減することが多いようです。
症状が出揃わないと、なかなか診断がつきにくいこともありますから、なんとなく、症状が取れない、痛みがどんどん強くなる時は、後から帯状疱疹であることがわかることがあります。
帯状疱疹のスタンダードな治療は、抗ウイルス剤の内服、痛み止め、末しょう神経に作用するビタミンB12製剤の内服などです。上記、入院が必要なラムゼイハント症候群などでは、初期に炎症をおさめるため、ステロイドの内服も行われます。
後遺症も考えると、やむおえないですね。
帯状疱疹に対する代表的な漢方処方をあげると、初期は、炎症や浮腫をおさめるため、水滞の処方、冷える方には、温める処方、急性期を過ぎたら、瘀血の処方(血の巡りを良くして、損傷の早期治癒を目指す)などです。
帯状疱疹によって、食欲や気力も落ちることがありますし、食欲や気力が落ちている時に帯状疱疹に罹患しやすくなりますので、体質にあった漢方薬の投与は、帯状疱疹の急性期にも、帯状疱疹後神経痛にも、全身の免疫状態の改善し、時に局所の炎症の軽減、創傷治癒の促進など、治癒をサポートします。
帯状疱疹においても、炎症をおさめやすい、食事や、生活習慣もとても大切です。
そちらの指導も可能な限りやらせていただきたいと思います。
もちろん、最初から汎発性(神経の支配領域をこえて水疱が存在)の帯状疱疹だったり、疼痛が著しかったり、重症な合併症や全身症状がある場合は、入院できる施設をご紹介いたします。